以下は、株式会社NAC星野農場長のブログ記事です。
今回の記事について
明けましておめでとうございます^^
新年らしく、今年の目標・活動方針を書きます。それは
【私がこれまでやってきたことを動画・テキストにまとめていく】
です。その新年最初の一歩としてタイトルの通り、私がこれまで試行錯誤と実践をしてきた
『自然農でお金を稼ぐ、仕事にする』方法を書きます。
※今回の記事の内容はYouTubeチャンネル『ちょこっと自然農』にて動画でアップ済です。
文字が読みにくいと言う方は動画を。動画は見たけど復習したいという方はこちらの記事を読み進めてみて下さい。
タイトルと内容に自然農だけではなく『家庭菜園』も含めたのは、両者に共通することがあり自然農を収益化するノウハウはそのまま家庭菜園を収益化する方法としても使えるからです。
自然農と家庭菜園の共通点は、
少量多品目栽培、生産販売の為の栽培よりも自給的栽培が向いている
ということです。
そう、『仕事としての農業』の基本というか前提となる、
農産物を栽培して販売することに不向きな畑のやり方でお金を稼ぐと言うことです。
先のその3つの方法を挙げておくと
1.農産物を売る
2.体験を売る
3.情報を売る
です。
但し、本職の農業ほど稼げる方法ではなく、月に数千円~数万円程度の収益化です。
2022年1月4日撮影:自家採種のタネから育った自然農のニンジン。味・香りは抜群に良いけど形大きさが揃いにくく育つのにも時間が掛るので大量生産&まとめて収穫出荷には不向き。
週末農業をやっている方、いずれは就農しようと考えている方、退職後は田舎で農業やってみたいと思っている方、家庭菜園もやっていないけど農業関係で副業をやってみたいと思う方は読んでみて下さい。
もちろん、最初は小さく週1~2日程度で始めて、稼げるようになってきたらそれを月収数十万円の仕事に育てていくことも可能です。
それでは本題に入ります。
※長くなったので記事を分けて書きます。今回は【1.農産物を売る】だけです。
1.農産物を売る
野菜を売る相手・場所
まず1つめの方法は一番やりやすいけれど、収入を大きくしにくい『野菜を売る』ことから解説します。
その売り方について5つ例を挙げて順に解説していきます。
①友人知人に売る
②直売所に持ち込む
③マルシェに出店する
④ネット販売する
⑤青果市場に持ち込む(現実的じゃないけど一応)
①~④は家庭菜園や少量栽培でも可能で、⑤も仕入れ業者さんや市場関係者にツテがあれば交渉して買い取ってもらったり、持ち込みも可能だとは思いますが買い取り価格がかなり安くなるので、少量の持ち込みでは全く割に合いません。私も仕入れ業者さんとご縁を頂き、過去何度か販売しましたがこちらの手間も掛るし、うちの野菜は普段と違うイレギュラーな存在でもあったので業者さんにも負担を掛けてしまったんじゃないかと思っています。
①友人知人に売る
出来た野菜を知り合いに直売するというもので、もっとも簡単ですし、第三者を介さないので手数料も取られず、気軽に行えます。販売コスパは悪くなりますが、大根1本からでも可能ですので、野菜を沢山収穫できなくてもやれます。
なので最初にやってみるのにはこれがお勧めですが、普通の人は日常的に物を販売する経験をしていないので、『お金を取ること』や『営業をすること』に抵抗を感じる方が多いと思います。
特に営業や売り込みということは、やりたくもないしされたくもないという人の方が多いと思います。私もそうなので。
ですので、そこは営業や売り込みはせず(慣れてきて楽しめるならやってみると良いです)、
現代ならではのSNSの書き込みを使います。
やり方の詳細やコツまで書くととても長くなってしまうのでこの記事では省略します。
②直売所に持ち込む
これは、ある程度まとまって収穫が出来るようになってきたらやってみると良い方法です。
直売所と一口に言っても、色んな場所・主催者がいます。メジャーなのは道の駅ですが、地域のJAでもやっていたり、西尾市では『農業屋』という農業資材屋さんが運営している直売所もあり、いずれも取り扱い責任者の方に相談してみると簡単に出品できます。
直売所のメリットは、販売を委託できるし、他の出品者もいることで売り場の商品ラインナップ自体のバラエティ豊富になり、集客力が強くお客さんもよく来てくれることです。
デメリットは、販売手数料が掛ることとライバルが多く、価格競争になりやすいことです。
安いか、美味しいと評判にならなければ売れ残ってしまう可能性も高まります。
特に、栽培し易い旬の野菜は他の出品者さんも出してくるので、薄利多売になりやすく、収穫・洗浄・袋詰め・持ち込み陳列・売れ残りの回収などの作業の割に合わなくなるかも知れません。
③マルシェに出店する
販売委託するか、自分で売るかの違いはありますが、競合相手が多いという点で②直売所と似ています。自分で販売する分、手数料は掛りませんが出店料(相場は1,000円~3,000円/日)が掛るのと、自分の労力か人を雇えば人件費が掛ります。
野菜の単価は100円~300円くらいなので、30~100袋売っても1万円程度でそこから各種経費を引くので儲けは8,000円ほどになります。販売の為の準備時間も考えると2万円くらいの売上げが無いと、コンビニバイトでもした方がマシな収益性になってしまいます。
ただ、マルシェの魅力はそのイベント感にあり、お祭り気分を楽しむのであればあまり売上げのことは気にせずともよくできますし、①の友人知人に売るのとは違い、店に立ち寄ってくれる人は少なからず買う気や興味を持ってくれている人なので、売り込みの練習にはもってこいの場所でもあります。そのやりとりもまた楽しかったりします。
④ネット販売
2018年くらいまでは私も宅配販売をやっていて、当時はお客さんと直接連絡を取り合って、ゆうパックで発送して、代金は銀行振込みでやっていましたが、現在ではポケットマルシェ、食べチョク、メルカリなど手軽に使えるECサイトも増えました。
手軽なのは、①との組み合わせになりますが遠方の知人に野菜セットにして販売するやり方です。これのメリットは、販売手数料が掛らないことですが、商品紹介や代金の受け取りなどで手間が掛り、代金を頂けないリスクもあります。
その点で、ECサイトを活用すると基本的に代金先払いですし、沢山のお客さんに見て貰うこともできます。デメリットとして10%前後の販売手数料(サイトによります)が掛るのと、競合相手もめちゃくちゃ多く、プロ農家さんも沢山出品しているのでその中で戦わねばならず、素人には厳しい世界となります。
また少数販売だと送料の負担がかなり大きく、だいたい野菜セットの相場が2~3,000円前後なのに対して送料は1,000円前後かかります。クール便にしたら更に300円くらい高くなります。
となると売上げの1/3が送料に消えてしまうので大変な割に儲けは少なくなります。
ネット販売の経験を積むという目的で、マーケティングや広告の練習も兼ねてやってみるならその価値はありますが、一番手間が掛る割に少数販売だと収益性が良くない方法です。
野菜よりも収益性の高い農産物
ここまで読んで頂いて、『やりやすいけど収益性が悪い』ことをご理解頂けたでしょうか?
もちろん上記①~④のやり方でも技術や工夫、そして作業量(これが重要)次第では月に数万~十万円以上稼ぐことも可能だとは思いますが、そうなるとかなりがんばらないといけません。
10万円稼ぐには3,000円の野菜セット(野菜5~10種類入りで80サイズの段ボール)を
月に50セット(送料の1,000円を引いて2,000×50=10万)、
つまり毎週12セット以上販売しなくてはいけない。
これはほぼ毎日畑作業をしないと出来ない物量です。
そういうことを2年頑張ってみた結果、
『自然農の野菜でやるもんじゃない』という結論に達して辞めました。
毎週とか隔週といった定期的な販売は辞めたものの、時期的に単価が高めで手間もそれほど掛らない野菜ではやったりします。例えばニンニクとか梅です。
でも、私が最も収益性が高いと感じている農作物は『種子』です。
そう、野菜のタネ。
野菜のタネ販売についてはノウハウを改めてまとめようと思っていますが、簡単に書くと、
固定種のタネ15品種セットで3,000円で販売して2日間で20万円以上の売上げを作りました。送料や封筒代、ECサイト(ネットショップアプリを使用)の経費を引いても19万円くらいの粗利になりました。
とはいえ、それだけの野菜のタネを集めることがまず大変なので簡単にやれるものではないのですが、野菜販売よりも可能性を感じるものではあります。
タネは、野菜と違って1年は保存ができるし、小さいので送料も保管費用も桁違いに少なく済みます。そして競合相手が少ない。
商売として考えるなら、競合相手は少ない方がよいのですが、私自身はタネ販売を個人でも行う方がどんどん増えてくれたら良いなと考えています。
というのも、以前他の記事でも書きましたが、在来種や伝統品種の野菜が栽培されなくなっていき品種絶滅していっているからです。
採算をとらなければならないプロ農家さんには出来ないことでも、採算を度外視してやれる家庭菜園だからこそやれること、やり続けられてしかも価値のあることだと思っています。
今回の記事はこれにて終了。次回は【2.体験を売る】についてです。